銀行員として渡仏していた永井荷風が、明治41年に帰国して大正7年築地に移るまでの約10年間を過ごした地。慶応大学教授として教鞭をとるかたわら、「歓楽」「すみだ川」「冷笑」(以上、明治42年発表)をはじめとする数々の秀作を手がけました。
腸を病みがちだったことから、庭内に『断腸亭』と呼ぶ離れを建てたのだとか。その名をつけた随筆「断腸亭雑藁」(大正7年刊)の中で、「我家は山の手のはずれ、三月、春泥容易に乾かず、五月、早くも蚊に襲われ、市ヶ谷のラッパは入相の鐘の余韻を乱し、従来の軍馬は門前の草を食み、塀を蹴破る。昔は貧乏御家人の跋扈せし処、もとより何の風情あらんや。」と、当時の自宅界隈の様子を伝えています。
郵便番号 | 〒162-0055 |
住所 | 東京都新宿区余丁町14-3 |
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