すべてのものに、はじまりはある。
古今東西の文化が出合い、刺激し合いながら発展してきた新宿では、たくさんの「日本初」の出来事があった。
大好きな食べものやカルチャー、記憶に残る行事……。
えっ、あれも?という、意外なエピソードにも出合えるはず。
「はじめて」の物語を探して、街歩きに出発!
営業時間・休業日が記載と異なる場合があります。
詳細は店舗にご確認ください。
多くの人が訪れ、賑わう新宿。
食べものは「はじめて」に満ちている。
今や多くの人に親しまれている卵とじかつ丼。その第一号は、惜しまれつつ閉店した早稲田のそば屋、三朝庵といわれています。大正時代、「余ったトンカツを卵でとじてみれば」という学生のひとことをきっかけに丼にして出したところ、たちまち評判を呼んだといいます。
1882(明治15)年に創設され、創立者・大隈重信の別邸の住所にちなみ「早稲田学校」などと呼ばれた「東京専門学校」が前身。1902(明治35)年、大学へ昇格し、「早稲田大学」となりました。
新宿区戸塚町1-104
お餅と餡、甘酸っぱいいちごの取り合わせが絶品のいちご大福も、新宿が発祥。大角玉屋の『元祖いちご豆大福』がブームを呼び、今では季節の定番となりました。
新宿区住吉町8-25 ☎ 03-3351-7735
1985(昭和60)年頃当時の店舗
元祖いちご豆大福® 324円
今の新宿御苑の場所は明治初期の1872(明治5)年以来、近代農業の研究・新興拠点でした。温室を用いたラン栽培や、国産いちごのルーツとなる「福羽いちご」などの品種改良にはじめて成功。その苗は全国各地に送られ日本での果実栽培の原点となりました。
新宿区内藤町11 ☎ 03-3350-0151
※酒類持込禁止、遊具類使用禁止
絶滅危惧種の保存・展示を行う温室
1908(明治41)年の温室
新宿御苑ではじめて栽培されたフルーツのひとつが、マスクメロンのもととなる温室メロン。新宿の果実専門店、新宿高野はマスクメロンを高級フルーツギフトとして、1919(大正8)年に取り扱いを開始。看板商品として、たくさんの人を魅了してきました。
マスクメロン
1937(昭和12)年当時の店舗
明治の頃、新宿中村屋の創業者夫妻は初めて食べたシュークリームに感動し、新たなパンを着想。あんパン、ジャムパンと並ぶ菓子パン界のレジェンド、クリームパンが誕生しました。
元祖クリームパン
216円
1909(明治42)年当時の店舗
江戸の庶民文化あり、時代時代の最新トレンドあり。
いまでは当たり前になったあれもこれも、新宿が「はじめて」だった。
無声映画時代の1920(大正9)年から、洋画の封切館として知られた武蔵野館は、映像と音声が同期するトーキー映画の時代になっても最新の海外作品に触れられる劇場でした。1931(昭和6)年、武蔵野館などで封切られた米国作品『モロッコ』は、日本で初めてのスーパーインポーズ版(日本語字幕)として上映。本国版そのままの臨場感で観衆を魅了しました。
『ブーム・タウン』公開時のにぎわい
1947(昭和22)年11~12月
武蔵野興業株式会社所蔵写真
日本初といわれるウォーキング大会は、1964(昭和39)年の東京五輪会期中、神宮外苑絵画館前から世田谷・駒沢公園に向けて歩く大会としてスタートしました。そんな歴史に思いを馳せて、今の新宿を歩いてみるのも楽しいですよ。
新宿区霞ヶ丘町2-1
2018(平成30)年
小金井公園・ウォーキングフェスタの様子
後の三菱鉛筆創業者である眞崎仁六は、1887(明治20)年、第3回パリ万博で見た鉛筆の実用性に感銘を受け、「眞崎鉛筆製造所」を創業し試行錯誤の末、新宿の地で国産化。学校から官庁まで、日本の発展を文房具で支えました。
新宿区内藤町1
多武峯内藤神社 内藤児童遊園内
1901(明治34)年に
「逓信省(現:総務省)御用品」として
採用された局用鉛筆
ライト兄弟から7年後。陸軍軍人の日野熊蔵は1910(明治43)年、エンジンも自作した初の国産飛行機「日野式一号機」を完成させました。製作場所となった林田商会の跡地は新宿区の指定史跡となっています。
新宿区西五軒町12-10
わたあめ、焼きそば、金魚すくい。東京の縁日に夜店が並ぶようになったのは、江戸時代末から賑わった「神楽坂の毘沙門様」こと善國寺が発祥といわれています。人出のために車馬の往来が困難になるほどだったそう。
縁日は、「神楽坂まつり(ほおずき市)」として受け継がれている。
写真は2018(平成30)年の様子
新宿にある自性院は、秘仏・猫地蔵を安置する「ねこ寺」として有名です。豪商の娘の冥福を祈って奉納されたという「猫面地蔵尊」などねこ関係のエピソードが豊富で、招き猫発祥の地という説も。
日本で現在ポピュラーなNゲージ(レール幅9㍉)サイズの鉄道模型を国産化したのは、現在の関水金属。落合にある鉄道模型のショールーム・ホビーセンターカトー東京の親会社です。ショールームのジオラマには子どもから大人まで、今日もたくさんの夢を乗せた鉄道模型が走っています。
人気のE235系山手線のNゲージ
国産初のNゲージ発売開始当時の広告
作中、高田馬場の「科学省」で誕生した鉄腕アトム。新宿区の「新宿未来特使」で、区のシンボル的存在です。リアルの新宿の街角で、その姿に出会えます。
高田馬場駅早稲田口高架下に、過去・現在・未来で活躍するアトムの姿が。
新宿区高田馬場2-14-26
アトム1歳の誕生日に当たる2004年4月7日、地域の人たちの手で誕生した地域通貨。アトムと一緒に街を盛り上げましょう。
非売品
手塚治虫も常連だった御菓子司「青柳」で、栗まんじゅうになったアトムと遭遇!
新宿区高田馬場4-13-12☎ 03-3371-8951
新宿plus vol.13 2021年9月発行特集「新宿はじめて物語」