安居酒屋帰りの学生でごった返す高田馬場はハッキリ言って嫌いだ。高田馬場の良さは「学生街」ってとこじゃない。
高田馬場のキモは、何もかも飲み込んだ怪しい混沌です。よく言えばダイバーシティ。時間も国境も、清濁も貧富も超えてる感じ。しかも、駅から徒歩1分以内でその混沌の渦に巻き込んでくれるんだから最高です。駅近のすべてのビルがミニ九龍城のごとし。
東口すぐの交差点の北東角、「菊月ビル」は築年約50年。下の方には今っぽいお店が入ってますが、道の向かいから上階を見ると戦艦や要塞のごとき造りです。その隣の東京三協信金のビルといい、その横の「学生ローン」の看板がベカベカ貼られた妙にポップな色の「伊勢浪ビル」といい、ともに相当な年季を感じるビルで、すべての部屋に混沌が潜んでいそうです。
駅の側に戻りまして、東口すぐの交差点角にある「稲門ビル」、これも外観や内階段のミッドセンチュリー感あふれるデザインから分かるとおりかなり古いビル。その2階に鎮座する山水ビリヤードはなんと1955年創業!高田馬場の長老格です。
その並びにあるビル「タックイレブン」もかなり年季の入ったビルですが、ここのビルの混沌は通りから看板を見れば誰でも分かります。ここはミャンマー料理店がたくさん入るビルとしても有名。1階の「ノングインレイ」は、壁に貼られた「今日のオススメ」がほとんど虫料理という強烈さです。いや虫はともかくとして、麺類とかサラダとか、とてもおいしいですよ。
虫料理と言えば(いや、別に虫が好きなわけじゃないが)このビルの裏の「米とサーカス」のほうが刺激的。ビル裏の線路に挟まれた路地は高田馬場一の不思議スポットですので、ぜひ迷い込んで混沌に身をゆだねてください。