神楽坂といえばすっかりオシャレな街として評価は安定し、元花街という裏づけも相まって地価も上がる一方。神楽坂通りにはさぞハイプライスで美味きわまりないお店が並んでいるのであろう、一見には入りづらいのであろうとお嘆きのみなさま、私は神楽坂と呼ばれる地域に住んで早14年経ちましたが、神楽坂のメイン通りは言ってみりゃハレの日のご褒美です。
もっと庶民的でオシャレ度もちょうど良いくらいのお店が、神楽坂と呼べるかどうか微妙なあたり、周縁部にたくさんあるんだってことを私は主張したい。
まず、坂をのぼりきって喧噪を抜けたあたりにある、このへんの住民誰もが大好きな「竹ちゃん」にみんなを連れていきたい。チェーン店ではないけど小料理屋風でもない、大箱の安居酒屋。意外と(失礼)お刺身もうまいし、寿司からたこ焼きまである。同じ「竹ちゃん」の名でカラオケボックスも雀荘も同じビルにあるという用意の良さ。
同じビルの地下にあるのはテイスト違いの「ハービーフットクラブ」。いかにも若いビジネスマンがテレビでフットボールなどを見そうな感じのアメリカンなお店で、実際にそうなんだけど、ちょっと驚くほどハンバーガーがおいしい。だから大好き。
坂の下のだいぶ外れ、新小川町まで行けば「パイロン」という餃子の名店があるし、神楽坂通りから少し外れた大久保通りにある「余白」は元出版社勤務のご夫婦による上品なお店。もともと神楽坂の北側は、製本所や出版関係の小企業が密集する文系+製造業ゾーン。神楽坂民のベースは下町だけど、そこにうっすら文系の香りが漂う。そんな住民が愛する店は、実は神楽坂の周縁部にあるのです。